<コラム> ソニー再建策は「ロイヤル顧客創造」のための事業再構築

成長市場で下方修正する負け組「ソニー」
先日17日、ソニーが2015年3月期の連結業績見通しを下方修正するとともに、1958年の上場以来初の無配を発表しました。スマートフォン(以下「スマホ」)事業の減損処理で1,800億円の損失を計上し、最終赤字は当初見込みの500億円から2,300億円に拡大、スマホ事業の立て直しのために、7,000人いるスマホ事業の社員から1,000人規模の削減を実行する予定。

パソコン事業を売却、テレビ分社化などテコ入れを続け、エレクトロニクス事業の黒字化を目指し、ソニーはスマホをコア事業に位置付けました。しかし、そのスマホ事業も海外メーカーとの競争の中で想定以上に苦戦しており、スマホ市場は世界の出荷台数が4~6月に2割増えて過去最高、引き続き成長市場でありながら、ソニーは7月末に今期の販売台数計画を4,300万台(前期比10%増)から700万台引き下げてしまいました。

この敗因は競合他社を追随することに専念してしまい、顧客から見た自社の「現状の強み」を見失っているためといえます。

成長戦略を軌道に乗せる鉄則は「ロイヤル顧客の創出」
ソニーにはエレクトロニクス事業の他に、収益力の高い金融事業、映画・音楽など豊富なコンテンツを持つエンターテイメント事業があります。ソニーの決算資料とみると、事業セグメントは8分野に分けられています。

エレクトロニクス事業
・モバイル・プロダクツ&コミュニケーション分野
・ゲーム分野
・イメージング・プロダクツ&ソリューション分野
・ホームエンタテイメント&サウンド分野
・デバイス分野

エンターテイメント事業
・映画分野
・音楽分野

金融分野

このうち、BtoB事業のイメージング・プロダクツ&ソリューション分野とデバイス分野以外の6分野はBtoC事業であり、ほぼ同じ消費者に提供している商品です。

それでは、この6分野すべての商品を購入してくれるソニーのロイヤル顧客はいったい何人いるでしょうか?

ロイヤル顧客数をKPIに設定して、ロイヤル顧客数を増やすために、金融とエンターテイメントのさらなる拡大を図り、そのツールとしてスマホをセットで提供すれば、スマホの出荷台数は大きく伸びます。しかも、スマホは金融やエンターテイメントの器で良いのですから操作性が最重要視されるべきであり、他社を追随する機能強化のための開発コストを大幅に削減することができます。
ただし、ソニー以外のスマホにも金融やエンターテイメントのアプリなどを提供することは必須です。一番大切なことは、ソニーの金融やエンターテイメントの利用や使い勝手に一番適したスマホがソニーのスマホになることです。

ロイヤル顧客を創造できる1つの「パッケージ」を提供する。

それが、ソニーがV字回復できるサクセスストーリーではないでしょうか?

ロイヤル顧客創出の鉄則は「事業部間の共創」
ロイヤル顧客を創造するためには、エレクトロニクス事業、エンターテイメント事業、金融事業と事業を分断してはいけません。
それこそ、スマホ事業で余剰人員が1,000人いるのであれば、エンターテイメント、金融に配置転換すべきです。異動後、ぜひエンターテイメントや金融がスマホでより使いやすいサービスになるためには、何を改善すべきなのか?どの事業に視点を置くことなく、徹底的に顧客視点で、エンターテイメントや金融サービスが世界で一番使いやすいスマホの実現、そしてロイヤル顧客予備軍の生の声の収集に取り組んでください。

他社では考えつかない新たな操作性やサービスの発見こそ、「It’s a SONY」になることでしょう。

ロイヤル顧客とは、商品ブランドではなく、企業ブランドに対して高いロイヤルティを持ち、その企業の商品であれば、比較検討しても選択してしまう顧客です。
企業ブランドを愛してくれるロイヤル顧客を増やすためには、事業部制は障害です。
事業部の垣根を越えて、ロイヤル顧客視点で事業拡大に取り組んでください。


VAIO事業を売却したソニーという企業にはもう魅力がありませんが、もしも私がソニーの社長として迎えられたら(笑)
「it’s a SONY」の名のもとにロイヤル顧客のためのオンリーワン事業に徹してV字回復を実現させます。

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